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2022-09-09 00:00:00

■「入管法を学ぶ」ということ

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 皆さん、こんにちは。行政書士事務所エフイヴグループ、村瀬です。今日も、当事務所のサイトにお越しいただきありがとうございます。

 

 さて、先週僕は、数年~数十年前に予備校講師(行政書士試験対策)として活動していた頃に受講してくれていた「元受講生」の方と久しぶりに会いました。何名かお会いしましたが、今ではエンジニアとして活躍されている方だったり、今は司法書士試験を目指しながら日々仕事をしている方だったりと、変わらぬ勤勉な姿勢に学びがありました。僕も事務所の活動を含め、近況報告をしたのですが「あの頃と変わらず、勉強されているのですね」という言葉をいただきました。バリバリ勉強している彼らに比べると、ちょっと恥ずかしいレベルではあるのですが、「勉強」について、修行時代、開業時代を思い出しました。

 

 タイトルにもあるとおり「入管法を学ぶ」ということについて、ちょっと考えたことを書きます。

 

 僕は「行政書士」として活動していこうと決心したのは、25歳の頃です。それまでの環境や方針を180度変えるという意味では、本当に大きな決断だったと覚えています。

 

 当時の僕は、「行政書士としての専門分野を確立しなければ生きていけない」、「僕の専門は、入管法だから入管法を学ばなければいけない」という一心でした。また、担当していた実務講座のほうの受講生の方からよく問われたことなのですが、「入管業務をするにあたって、英語とかは勉強しておいた方がいいですか?」という質問に対しても、「簡単な翻訳さえできれば、日本語だけでも大丈夫ですよ。むしろ、英語とかを1から勉強する時間があったら、入管法の勉強に、基礎から応用までしっかり時間をとった方がいい」という風に答えたりしていました。

 

 本記事執筆現在は、あれから約13年の月日が流れました。

 根本的な答えは変わらないのですが、ちょっとだけ最近考え方が変わった部分があります。それは、僕自身が「入管法を勉強したい」というより、「入管法を起点に、世界と日本のことを知りたい」という感じに変わったことです。

 

 いわゆる「入管業務」(僕の事務所では、「外国人関連法務」などといっていますが)をしていると、本当にたくさんの国の方に出会います。パッと事件簿を眺めてみても、ベトナム中国台湾香港韓国フィリピンタイネパールバングラデシュシンガポールアメリカロシアフランスウズベキスタンアルゼンチン・・実に様々な国籍の方々の手続きを行ってきたなと思います。もちろん、多くの優秀な外国籍の方は日本語も一定話せますし、契約機関となる企業の法務部・人事部の方々は、各国の言葉に堪能だったりするので、言語に困ることはあまりありません。翻訳だって、Google翻訳などを活用すればある程度は対応できます。

 

 でも、40代を手前に、ちょっと思ってしまったんですよね。

 「入管法を勉強して、在留資格をとることが仕事!」っていう「だけ」は、ちょっと虚しいなと。

 

 ロシア・ウクライナの問題も影響しているかもしれませんが、様々な国籍の方にお会いするたびに(上記にも各国の外務省のリンクを貼りました)、その国がどんな国なのか、どんな文化で、どんな言葉なのか、政治・経済状況はどうなのか、日本との関係性はどうなのか(もしその国が、反日とか非友好国だとすれば、歴史的にどのような問題があったからなのか・・etc)、ということを学ぶきっかけにしないと、「もったいないな」と考えるようになったのです。そもそも、自分の事務所で受任した人たちの国がどんな国か、たとえば、上に挙げた15ヶ国のうち「共和国」はどれか?、ということでさえ僕は知らないレベルだったから、余計に関心が持てるのかもしれません(笑)

 

 在留資格が無事に取れた後、依頼者(企業の担当者や申請人)の方々と一緒にお食事する機会もあるのですが、やはり、「この人の国の言葉でコミュニケーションとれたら、もっとこの時間が楽しいし、聞きたいこと聞けるんだろうな」と感じたことは1度や2度ではありません。

 

 これから40代を迎えるにあたって。これまでいろんな許認可の仕事を経験できましたし、入管法実務をさらに深めていきたいと思っているのはもちろんなのですが、同時に、各国の語学、歴史、政治経済について集約していくといういい目標ができました(仮に行政書士としての仕事を引退して入管法の実務から離れても、これらのことは勉強を続けると思います)。今は、「入管法を学ぶ」という点で考えるのではなく、「入管法の実務をつうじて世界を知る」という縦・横の線のように繋げていきたいと思うようになりましたし、このブログでも、可能な限り触れていきたいと思っています。

 

(※ 2022年9月9日現在)

 

 

 

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2022-09-08 00:00:00

■ 1ドル144円

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 為替相場がとんでもないことになっています。1ドル144円。ついこの前まで、「さすがに139円以上は・・」なんて言っていましたが、あっという間に突破しました。アメリカやEU圏が政策金利を引き上げ続けている一方、日本は金融緩和を継続しています。いわゆる円安状態にあるのですが、これは個人的にはかなり深刻に思います。

 

 通貨の強さでいえば、ドル>ユーロ>円、というわかりやすい構図になっています。ユーロについては、ウクライナ情勢の影響も大きく反映されることが予想されるため、ちょっとこの先に不安要素はあるものの、それでも対円で考えると、やはりユーロの方が買われてる現状。・・・いかに今の日本が「やばい」か。

 

 とはいえ、じゃあ利上げかといっても、国債や住宅ローンなど影響が大きいところを考慮すると、日本銀行も動くに動けないのかもしれませんね。少子高齢化の日本、介護に従事する人が増える一方の日本という国に「投資の価値がない」という声もチラホラ聞こえてくるようになりました。外国為替証拠金取引をするならば、今はドル円は買い・・(とはいえこのボラは怖い。笑)なのでしょうが、それ以上に、この水準は、ちょっと怖いです、日本の将来が。

 

 僕らの世代も不安ですが、我が子が大人になったとき、日本はどんな社会になっているのか。

 

 

(※2022年9月8日)

 

 

 

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2022-09-02 15:04:00

■外国人起業と在留資格「経営・管理」(その1)

第1 外国人の起業と在留資格「経営・管理」

 

 外国人が日本で事業の経営・管理業務に従事しようと思ったときは、在留資格「経営・管理」を検討することになります。僕は、よく「経営者になるための在留資格」といっていますが、つまり、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」などが、日本の会社に雇用されて働き、その対価として給与を得るという働き方と異なり、「起業」して経営者として活動するための在留資格となります。

 この在留資格、かつては「投資・経営」と呼ばれていました。すなわち、外資を日本に入れ経済発展を目指していたため、外国人起業家は、自らが日本に出資(投資)しなければいけないという前提がありました。その中心は、貿易活動やそれに関連する商業活動でした。これが、平成26年の法改正により「経営・管理」に改正して設けられました。

 僕の事務所では、「経営・管理」のご相談・ご依頼はこれまで比較的多く受任してきました。仕事の繋がりで会社設立を専門とする司法書士が多かったというのもあるかもしれませんが、それ以上に、日本で事業経営をすることに対するニーズが強くなっていったと感じています。僕が開業した2011年は、まだどこか「投資・経営」というのはハードルの高いテクニカルな在留資格という印象はありましたが、「経営・管理」になってからは、誤解を恐れずいえば「やりやすくなった」といえます。

 とはいえ、在留資格「経営・管理」は、依然として、就労系在留資格の中では難易度の高い分野であり、かつ、申請人本人の強い意志と計画性が必要になります。

 

第2 どのような流れ(スケジュール感)で進むのか?

 

 在留資格「経営・管理」は今でこそインターネットによって情報がとりやすくなり、その全貌がわかりやすくなっていますが、それでもなかなかに難しい面があります。今回は、「外国人の方が日本で飲食店を展開するため、会社設立をする場合」の主なステップを書いてみます。

 

(1)事業計画書の策定

(2)オフィス物件の契約(賃貸等)

(3)会社設立登記申請(法務局)

(4)法人設立届出等(税務署)

(5)飲食店営業許可申請(保健所)

(6)在留資格認定証明書交付申請(出入国在留管理局)

   ※すでに在留している場合は、在留資格変更許可申請

 

という主に6つのステップがあり、それぞれに確認しなければいけない要件、それに関連する書類を準備します。こうかくと、「なんだそんなもんか」と思うかもしれませんが、1つ1つがすべて連動しています。

 たとえば、「私は自宅マンションを所有しているから、オフィスも会社の登記も全部自宅で行う。保健所にも自分で提出する。だから、ビザ申請だけしてほしい」という方もいらっしゃいます。僕個人としては、「世の中の手続きが士業がいなくてもできる」のが理想的な社会だと思っているので、「自分でできる」がベストです。

 しかしながら、「いや、このマンションは管理組合で居住用とされており、事業用途を禁止していますよ。ここでは、許認可も、在留資格もとれませんよ。」という回答をすることは、1度や2度ではなく、むしろ日常茶飯事といえます。その後は、「なにをいっているんだ、登記だってできたんだし、問題ないだろう!」という反論もあったりで(笑)、入管法、不動産登記法・商業登記法、食品衛生法など様々な法律のルールを説明することになります。

 そうなんです。「簡単にみえる」、「役所だから、事情を話せばなんとかしてくれるはずだ」という淡い期待を感じることが多くあるのですが、実際は、そんな風に日本社会はできていません(法律による行政の原理という大原則があり、公務員は、法律に反するとテコでも動きません)。

 

 

(※「その2」以降に続きます。) 

 

2022-09-02 01:00:00

■You tube動画「外国人を採用!まずはここをチェック!」

You tube動画「外国人を採用!まずはここをチェック!」

動画URL 》 https://www.youtube.com/watch?v=LOnu3wPkaqI&t=25s

2:13 「在留資格」とは?

 動画内で初めて出てきた「在留資格」という言葉。これは、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」といいます)で定められているもので、外国人(※ここでは、日本国籍を持たない方を指します)が日本に在留するための根拠を指します。その名のとおり、「在留するための資格」です。

 外国人の方が日本に入国するためには、その活動内容に応じて適正に在留資格を持っていることが重要ですが、僕たち行政書士は、ご本人の代わりに出入国在留管理局へ申請を取り次ぐことが主な仕事の1つです。これが認定(許可)されない限り、外国人は日本に入国ができません。

 この点、本編では、「就労ビザ」という言葉もでてきます。この「ビザ」という言葉は、「査証」といわれるものです。これは、その外国人が所持する旅券(パスポート)が有効で、その人が日本に入国しても問題ないと示す証書を指しますので、日本に在留して活動するための根拠である「在留資格」とは全くの別物です。

 とはいえ、実際問題は、適正に「在留資格」を取得した後、その在留資格を証明する書類に加え、入国の際の入国許可申請において「査証」を示し、入国という流れになりますので、「査証」と「在留資格」は両輪のようなものです。結果として、「働くための在留資格」を得たら、査証をもって日本に入国という流れになることから、2つをまとめて、俗に「就労ビザ」と呼ばれるようになったのだと思われます。

 専門家として、「査証(ビザ)」と「在留資格」は別物だという意見は正しいです。ただ、日頃、外国人採用をされる経営者・人事部の皆様は、そこまで厳格な定義を意識する必要はないでしょう。要するに、「会社で適正に働くようにするため」に、「査証」+「就労のための在留資格」、すなわち、「就労ビザ」を得るための手続き、ということになります。

2:24 「法律で定められた基準」とは?

 

 「基準」、これは、基準省令を指しています。基準省令とは、行政機関が制定する行政立法ですから、厳格にいうと「法律」とは異なるものです。

 国民の声を反映させ、国会が制定するのが「法律」です。そして、その法律の趣旨をくみ取り、その範囲内で、各専門機関が個別にルールを制定するものが「行政立法」と呼ばれるものです。これらをあわせて「法令」などといいますが、まさに、基準省令は、行政立法の代表格です。

 「行政立法」は、国民の声を反映させるというものではなく、行政機関が独自につくりますから、法律で意見公募手続などにより、国民の意見をとりいれるような仕組みになっています。

 入管法(これは、法律です)で定められた内容をさらに細かく定めた基準、たとえば、今回でている就労系在留資格の代表格、「技術・人文知識・国際業務」の在留許可を得ようと思ったときの基準は、正確には、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」というもので確認できます。この中に、「法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」があるのですが、「技術・人文知識・国際業務の在留資格を得たければ、このような基準をクリアしてね」ということが書かれているわけです。

 たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」であれば、大学以上の学歴をもっている外国人とか、日本の専門士の学位をもっている専門学校卒の外国人とか、あるいは、10年以上の実務経験のある外国人とか、そういう風に書かれています。

 また、給与面においても、日本人と同等額以上の報酬を受けることが基準の1つで定められていますから、「外国人なら安く採用できる」ということはないわけです(これは、いずれ動画にします)。

 いずれにしても、在留資格ごとにクリアすべき「基準」が定められており、それをクリアしていなければ申請しても不許可になるわけです。僕ら行政書士は、これを「基準適合性」として、申請前にチェックしていくわけです。

3:00 「活動内容に応じて在留資格が用意されている」とは?

 

 在留資格は、1つではありません。たとえば、「会社に就職する」といっても、システムエンジニアとして就職する人もいれば、通訳者として就職する人もいます。レストランの調理師として就職する人もいれば、プロスポーツ選手として活動する人もいます。

 様々な仕事が世の中にありますが、入管法は、一定のグルーピングにより、「業務内容(仕事内容)」にあわせて、在留資格を準備しています。

 たとえば、システムエンジニアや通訳者であれば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格、調理師であれば、「技能」の在留資格、プロスポーツ選手であれば、「興行」の在留資格・・というように。ちなみに、雇用ではなく、起業や会社役員としての生き方を選ぶならば、在留資格は「経営管理」というものを選択します。

 どのような活動なら、どのような在留資格を選ぶのか。これは、「出入国管理及び難民認定法(別表)」というものがあり、そのうち「別表第一」をみていただければ、就労系在留資格のほか、留学生など一定の在留資格の活動範囲を確認できます。ちなみに、「別表第二」は、「永住者」、「日本人の配偶者等」などの在留資格で、いわゆる居住系在留資格のことが書かれています。居住系在留資格は、就労活動などを理由に日本にくるというよりは、結婚や長期滞在の実績を理由に、いわば身分的な理由で申請する在留資格ですから、就労系在留資格とは全く異なるものですし、居住系在留資格を有している人たちは、就労系在留資格と異なり、業務内容に制限なく就労することができます(このあたり、また動画にします)。

 僕らは、目の前にいる外国人が日本でどのような活動をするのか、その活動をするための在留資格が入管法に用意されているのかを、まず1番最初に確認しますが、これを、「在留資格該当性」などと呼んでいます。

 

(※本記事は、過去にnoteで掲載したものを引用しています。)

2022-09-01 01:25:00

■ 「まるっとサポート」

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 僕のブログの「■ 許認可実務」のカテゴリーの最初の記事が、なぜかこれなんですが、まぁいいか。

 

 昨年(2021年)、エフイヴちゃんねるでかなり多くの皆様に観ていただいた(らしい)「社会保険労務士試験チャレンジ動画」。ここで、行政書士実務をこなしながら、見事、社会保険労務士試験に合格した当事務所のパートナー行政書士、藤本知子行政書士が、ホームページを完成させた模様です(2022年9月1日付公開)。

 

>> 行政書士 社会保険労務士ヒナコト総合事務所(公式ホームページ)

 

 ・・・なんかえらくカッコいいサイトですね。

 

 彼女の士業人生は、2015年に僕の事務所での補助者から始まり、行政書士登録を経て、かれこれ8年目に突入するわけなんですが、気づいたら行政書士・社会保険労務士として医療法人(歯科系)の専門家になっています。これまで「ヒナコト法務事務所」だったのが、社会保険労務士登録を機に、「ヒナコト総合事務所」になっています。事務所の仲間が、どんどん飛躍していく姿は、頼もしいし、しみじみしますね。

 

 「まるっとサポート」

 

 というキーワードが目にとまります。このワード、なんてことない感じがするかもしれませんが、複雑な許認可要件と膨大な資料に対峙する許認可実務に携わっていると、依頼者にとって「すべてを丸々とサポートしてくれる」ことがどれだけ価値あることか、そして、それを実現することがいかに高度な知識・技量を要するか知っています。

 

 法令知識、段取り能力、書類内容に対する迅速な判断能力、行政庁との折衝能力・・。僕の事務所でも、「まるっとサポート」的な何かを考えようかな。

 

 何はともあれ、藤本行政書士、ホームページ開設および社会保険労務士登録、おめでとうございます。

 

 

 

 

~ 後 記 ~

 

 時に、「(村瀬は)昨年に続き、今年も社会保険労務士試験受けたんですか?」と聞かれることがあるのですが・・僕は、昨年2021年の動画での受験をもって、社会保険労務士試験どころか、「国家資格(士業系)の受験の世界」自体から「完全引退」しました。今後、僕が「〇〇士」の試験を受験することはないでしょうし、資格試験の世界に足を踏み入れることはないでしょう(※自分の技量を高める英語検定とか趣味の歴史検定とかそういうのは別です)。

 

 入管法実務に一層邁進すること、また、自分自身やりたいことが明確になったことなど、理由は様々ですが、パートナーに社会保険労務士がいるんだからもう僕が何をしなくてもいいでしょう(笑)。頼れる人たちが周りにいる限り、僕は僕のやりたいことに集中する予定です。

 

 

(※2022年9月1日)

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