動画URL 》 https://www.youtube.com/watch?v=LOnu3wPkaqI&t=25s
外国人の方が日本に入国するためには、その活動内容に応じて適正に在留資格を持っていることが重要ですが、僕たち行政書士は、ご本人の代わりに出入国在留管理局へ申請を取り次ぐことが主な仕事の1つです。これが認定(許可)されない限り、外国人は日本に入国ができません。
この点、本編では、「就労ビザ」という言葉もでてきます。この「ビザ」という言葉は、「査証」といわれるものです。これは、その外国人が所持する旅券(パスポート)が有効で、その人が日本に入国しても問題ないと示す証書を指しますので、日本に在留して活動するための根拠である「在留資格」とは全くの別物です。
とはいえ、実際問題は、適正に「在留資格」を取得した後、その在留資格を証明する書類に加え、入国の際の入国許可申請において「査証」を示し、入国という流れになりますので、「査証」と「在留資格」は両輪のようなものです。結果として、「働くための在留資格」を得たら、査証をもって日本に入国という流れになることから、2つをまとめて、俗に「就労ビザ」と呼ばれるようになったのだと思われます。
専門家として、「査証(ビザ)」と「在留資格」は別物だという意見は正しいです。ただ、日頃、外国人採用をされる経営者・人事部の皆様は、そこまで厳格な定義を意識する必要はないでしょう。要するに、「会社で適正に働くようにするため」に、「査証」+「就労のための在留資格」、すなわち、「就労ビザ」を得るための手続き、ということになります。
「基準」、これは、基準省令を指しています。基準省令とは、行政機関が制定する行政立法ですから、厳格にいうと「法律」とは異なるものです。
国民の声を反映させ、国会が制定するのが「法律」です。そして、その法律の趣旨をくみ取り、その範囲内で、各専門機関が個別にルールを制定するものが「行政立法」と呼ばれるものです。これらをあわせて「法令」などといいますが、まさに、基準省令は、行政立法の代表格です。
「行政立法」は、国民の声を反映させるというものではなく、行政機関が独自につくりますから、法律で意見公募手続などにより、国民の意見をとりいれるような仕組みになっています。
入管法(これは、法律です)で定められた内容をさらに細かく定めた基準、たとえば、今回でている就労系在留資格の代表格、「技術・人文知識・国際業務」の在留許可を得ようと思ったときの基準は、正確には、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」というもので確認できます。この中に、「法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」があるのですが、「技術・人文知識・国際業務の在留資格を得たければ、このような基準をクリアしてね」ということが書かれているわけです。
たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」であれば、大学以上の学歴をもっている外国人とか、日本の専門士の学位をもっている専門学校卒の外国人とか、あるいは、10年以上の実務経験のある外国人とか、そういう風に書かれています。
また、給与面においても、日本人と同等額以上の報酬を受けることが基準の1つで定められていますから、「外国人なら安く採用できる」ということはないわけです(これは、いずれ動画にします)。
いずれにしても、在留資格ごとにクリアすべき「基準」が定められており、それをクリアしていなければ申請しても不許可になるわけです。僕ら行政書士は、これを「基準適合性」として、申請前にチェックしていくわけです。
在留資格は、1つではありません。たとえば、「会社に就職する」といっても、システムエンジニアとして就職する人もいれば、通訳者として就職する人もいます。レストランの調理師として就職する人もいれば、プロスポーツ選手として活動する人もいます。
様々な仕事が世の中にありますが、入管法は、一定のグルーピングにより、「業務内容(仕事内容)」にあわせて、在留資格を準備しています。
たとえば、システムエンジニアや通訳者であれば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格、調理師であれば、「技能」の在留資格、プロスポーツ選手であれば、「興行」の在留資格・・というように。ちなみに、雇用ではなく、起業や会社役員としての生き方を選ぶならば、在留資格は「経営管理」というものを選択します。
どのような活動なら、どのような在留資格を選ぶのか。これは、「出入国管理及び難民認定法(別表)」というものがあり、そのうち「別表第一」をみていただければ、就労系在留資格のほか、留学生など一定の在留資格の活動範囲を確認できます。ちなみに、「別表第二」は、「永住者」、「日本人の配偶者等」などの在留資格で、いわゆる居住系在留資格のことが書かれています。居住系在留資格は、就労活動などを理由に日本にくるというよりは、結婚や長期滞在の実績を理由に、いわば身分的な理由で申請する在留資格ですから、就労系在留資格とは全く異なるものですし、居住系在留資格を有している人たちは、就労系在留資格と異なり、業務内容に制限なく就労することができます(このあたり、また動画にします)。
僕らは、目の前にいる外国人が日本でどのような活動をするのか、その活動をするための在留資格が入管法に用意されているのかを、まず1番最初に確認しますが、これを、「在留資格該当性」などと呼んでいます。
(※本記事は、過去にnoteで掲載したものを引用しています。)
僕のブログの「■ 許認可実務」のカテゴリーの最初の記事が、なぜかこれなんですが、まぁいいか。
昨年(2021年)、エフイヴちゃんねるでかなり多くの皆様に観ていただいた(らしい)「社会保険労務士試験チャレンジ動画」。ここで、行政書士実務をこなしながら、見事、社会保険労務士試験に合格した当事務所のパートナー行政書士、藤本知子行政書士が、ホームページを完成させた模様です(2022年9月1日付公開)。
>> 行政書士 社会保険労務士ヒナコト総合事務所(公式ホームページ)
・・・なんかえらくカッコいいサイトですね。
彼女の士業人生は、2015年に僕の事務所での補助者から始まり、行政書士登録を経て、かれこれ8年目に突入するわけなんですが、気づいたら行政書士・社会保険労務士として医療法人(歯科系)の専門家になっています。これまで「ヒナコト法務事務所」だったのが、社会保険労務士登録を機に、「ヒナコト総合事務所」になっています。事務所の仲間が、どんどん飛躍していく姿は、頼もしいし、しみじみしますね。
「まるっとサポート」
というキーワードが目にとまります。このワード、なんてことない感じがするかもしれませんが、複雑な許認可要件と膨大な資料に対峙する許認可実務に携わっていると、依頼者にとって「すべてを丸々とサポートしてくれる」ことがどれだけ価値あることか、そして、それを実現することがいかに高度な知識・技量を要するか知っています。
法令知識、段取り能力、書類内容に対する迅速な判断能力、行政庁との折衝能力・・。僕の事務所でも、「まるっとサポート」的な何かを考えようかな。
何はともあれ、藤本行政書士、ホームページ開設および社会保険労務士登録、おめでとうございます。
~ 後 記 ~
時に、「(村瀬は)昨年に続き、今年も社会保険労務士試験受けたんですか?」と聞かれることがあるのですが・・僕は、昨年2021年の動画での受験をもって、社会保険労務士試験どころか、「国家資格(士業系)の受験の世界」自体から「完全引退」しました。今後、僕が「〇〇士」の試験を受験することはないでしょうし、資格試験の世界に足を踏み入れることはないでしょう(※自分の技量を高める英語検定とか趣味の歴史検定とかそういうのは別です)。
入管法実務に一層邁進すること、また、自分自身やりたいことが明確になったことなど、理由は様々ですが、パートナーに社会保険労務士がいるんだからもう僕が何をしなくてもいいでしょう(笑)。頼れる人たちが周りにいる限り、僕は僕のやりたいことに集中する予定です。
(※2022年9月1日)
行政書士事務所村瀬総合法務のサイトにようこそお越しくださいました。2022年執筆現在、もう開業して十数年が過ぎようとするのに大してカッコよくもないサイトではありますが、どうぞご容赦ください。
あらためまして、行政書士事務所村瀬総合法務、代表行政書士の村瀬仁彦と申します。代表者経歴のところでも書きましたが、僕は、開業してから現在に至るまで、いや、補助者・使用人行政書士(つまり、勤め)時代から、ずっと「入管法の実務」に携わってきました。僕の事務所には、日々、「うちの会社で外国人従業員を採用したいのですが・・」とか「このような事業展開をしていきたくて、そのために外国人従業員を求めていまして・・」とか「現地法人から日本の本社に優秀な外国人従業員を送りたいのですが」とか、場合によっては、「もう永住申請できるかと思って申請したんですが、不許可になってしまいました。なんとかしてください・・」とか、実に様々なご相談・ご依頼が寄せられています。
きっと、このサイトにたどり着いた方々の中には、「在留資格について知りたい」、「誰かに頼めないのだろうか」、「村瀬行政書士って誰だろう」といった具合に、いろんな経緯の方がいらっしゃるのだと思います。
「入管法(在留資格など)」って、難しいですよね?
僕自身、もう何十年も入管法を読み続け、何件もの入管申請を行ってきました。ここ数年は、資格予備校でも「入管法」の講座を担当させていただいていますし、企業の方にお声がけいただいて外国人採用事務を内制化できるよう社内研修の講師をしたり、顧問契約に基づいて外国人相談対応をさせてもらっていますので、どこまで書くか迷うところもありますが、あえて書きます。
入管法はそもそもマイナーな法律で、様々な法令が入り乱れ、いきなりルール(運用)が変わっていたり、コロナなど社会情勢に翻弄されたり、それでいて行政裁量が広汎だったりと、本当に「難しい」分野ですし、僕自身、まだまだ「わからない」ことがたくさんあります。何十年みてきても、「わからない」ものは「わからない」。生半可な「知識」だけで判断してしまうと、取り返しのつかない事態を巻き起こす、かなり特殊な世界のように思います。
ただ、これだけは言えます。
僕の事務所は「池袋駅」からちょっと歩いたところにある小さな個人事務所です。世の中には、何人もの行政書士が所属している大きな行政書士事務所がたくさんありますし、ホームページもこのサイトよりカッコいいところものはたくさんあります(むしろ、そっちの方が多い・・笑)。でも、こと入管手続に関して、僕が直接ヒアリングして、僕が申請書を作成・提出してそれでダメなら、誰がやってもダメです。実際、そう思っています(というより、「入管法専門行政書士」を謳う行政書士は、全員そうでないといけないとも思っています)。
個人事務所をしていて1番葛藤となるのは、せっかくご相談がきても抱えている仕事で手一杯のとき(何とかしたいけれど予約でいっぱいだったり、業務で行う以上ボランティアになることもいけない)、そんなときに限って、「実は申請をしたら不許可になってしまって。だから、今回はお願いしたいんです」というように、それが自分で申請して不許可になったものであれ、行政書士に依頼して不許可になったものであれ、「いやぁ、それはきちんとココの部分を疎明資料つけて文章で伝えないから、誤解されているよ・・」と思ってしまう瞬間です。「できないものはできない」のですが、「できるのにできなかった」が1番もったいない。
僕はこれまで同業他社からなんと言われようと、実務の傍ら、セミナー講師をしたり、予備校で講座をもったり、You tube動画をしてきましたが、それは少しでも情報発信をしてこのような人たちに届けばいいと思っていたからです(もちろん、それをみて僕の事務所に依頼してくれればという気持ちもありますが)。
冒頭にも書いた通り、僕の事務所は開業以来、ホームページ等についてそこまで手を加えてきませんでした。元々、ご紹介ご紹介でご依頼をいただいていたというのもありますが、あっちこっちブログやらSNSやらを登録した結果、何がなんだかわからなくなったという理由もあります(笑)。そこで、そろそろ整理しようと。
2022年以降は、そろそろ統一したいなぁと思ってきたので、今後、SNSは基本的に「Twitter」を、動画は「You tube」を、そして、記事はこの「日々の雑感」をベースに更新していきたいと思います。「日々の雑感」ですから、在留資格に関する記事はもちろん、行政書士として出入国管理行政に片足をつっこんでいるからこそ見える世界とか、日本と世界のこととか、多岐にわたって記事にしていこうと思っています。