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2022-09-20 10:00:00

■ 外国人雇用(その1:日本における外国人労働者の現状)

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 皆様いかがお過ごしでしょうか。東京・池袋の行政書士事務所エフイヴグループ、村瀬です。本日は、「外国人雇用シリーズ」についての記事となります。

 

【1】日本における外国人労働者の現状

 

 「外国人雇用」という言葉は、日本の企業側の視点からみた表現、あるいは、行政書士が対応する在留資格の手続き分野を包括的に示すものです。パッときくと、行政書士であれば「技術・人文知識・国際業務」とか「企業内転勤」のような在留資格の分類をイメージするでしょうし、企業であれば「外国人材を採用する」という人事的なイメージをするかもしれません。

 入管白書(2021年版)によると、2020年末現在の中長期在留者数は「258万2,686人」、特別永住者数は「30万4,430人」で、これらを合わせた在留外国人数は「288万7,116人」となったようです。また、2020年末現在における在留外国人数の我が国の総人口に占める割合は、我が国の総人口1億2,570万人(2020年10月1日現在人口推計(総務省統計局))に対し2.30%となっており、2019年末の2.32%と比べ0.02ポイント低くなっています。

 日本に在留する外国人の国籍トップ5は、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジルとなっています。数字だけでいえば、中国が1番多いのですが、中国は年々減少傾向になっているのに対して、ベトナムは増加傾向にあります。実は、このトップ5の国々でベトナムは増加傾向にありますが、他の4ヶ国は減少傾向にありベトナムという国は着目すべき国の1つです。

 さて、話を戻しますが「外国人雇用」といえば、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」といった就労のための在留資格、すなわち、日本の企業で正社員等で働く人たちを想像しますが、実はもっと広くとれます。たとえば、飲食店で働く調理師は「技能」という在留資格ですし、芸能や今流行りのeスポーツ選手(本記事では、「eスポーツ」と表記します)などであれば「興行」、彼らもまた「就労系」の在留資格の一角です。さらには、留学生として日本にきた大学生なども資格外活動許可を得ることで週28時間以内のアルバイトが可能になりますから、企業側からすればこれもまた「外国人雇用」の一角です。

 2019年より施行された「特定技能」外国人もまた外国人雇用の一角といえます。なかなか仕組み自体が複雑で、特定技能外国人を受け入れるための企業側の準備について、時間的・費用的負担が多く、また想定している人数上限なども設定されていることから、新型コロナウイルス感染症の影響も手伝って当初予定していたよりも鈍行しているものの、特定技能外国人の人数自体は増えています。日本の「現場」は人手不足となっていることから、従来の「就労系在留資格」、「特定技能」、資格外活動許可をとった「留学生」などは、企業側からみればすべて「外国人雇用」でありそれぞれの在留資格類型により管理体制が変わることから、外国人雇用は、在留資格を申請して許可されるだけでなく、その先の適法適正な在留管理までもが注目されているのです。

 

【2】日本政府は、「留学生」を増やしたいのはなぜか? 

 

 ※ 【2】以降は、次回に続きます。

 

 

(※2022年9月20日)

 

 

 

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2022-09-02 01:00:00

■You tube動画「外国人を採用!まずはここをチェック!」

You tube動画「外国人を採用!まずはここをチェック!」

動画URL 》 https://www.youtube.com/watch?v=LOnu3wPkaqI&t=25s

2:13 「在留資格」とは?

 動画内で初めて出てきた「在留資格」という言葉。これは、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」といいます)で定められているもので、外国人(※ここでは、日本国籍を持たない方を指します)が日本に在留するための根拠を指します。その名のとおり、「在留するための資格」です。

 外国人の方が日本に入国するためには、その活動内容に応じて適正に在留資格を持っていることが重要ですが、僕たち行政書士は、ご本人の代わりに出入国在留管理局へ申請を取り次ぐことが主な仕事の1つです。これが認定(許可)されない限り、外国人は日本に入国ができません。

 この点、本編では、「就労ビザ」という言葉もでてきます。この「ビザ」という言葉は、「査証」といわれるものです。これは、その外国人が所持する旅券(パスポート)が有効で、その人が日本に入国しても問題ないと示す証書を指しますので、日本に在留して活動するための根拠である「在留資格」とは全くの別物です。

 とはいえ、実際問題は、適正に「在留資格」を取得した後、その在留資格を証明する書類に加え、入国の際の入国許可申請において「査証」を示し、入国という流れになりますので、「査証」と「在留資格」は両輪のようなものです。結果として、「働くための在留資格」を得たら、査証をもって日本に入国という流れになることから、2つをまとめて、俗に「就労ビザ」と呼ばれるようになったのだと思われます。

 専門家として、「査証(ビザ)」と「在留資格」は別物だという意見は正しいです。ただ、日頃、外国人採用をされる経営者・人事部の皆様は、そこまで厳格な定義を意識する必要はないでしょう。要するに、「会社で適正に働くようにするため」に、「査証」+「就労のための在留資格」、すなわち、「就労ビザ」を得るための手続き、ということになります。

2:24 「法律で定められた基準」とは?

 

 「基準」、これは、基準省令を指しています。基準省令とは、行政機関が制定する行政立法ですから、厳格にいうと「法律」とは異なるものです。

 国民の声を反映させ、国会が制定するのが「法律」です。そして、その法律の趣旨をくみ取り、その範囲内で、各専門機関が個別にルールを制定するものが「行政立法」と呼ばれるものです。これらをあわせて「法令」などといいますが、まさに、基準省令は、行政立法の代表格です。

 「行政立法」は、国民の声を反映させるというものではなく、行政機関が独自につくりますから、法律で意見公募手続などにより、国民の意見をとりいれるような仕組みになっています。

 入管法(これは、法律です)で定められた内容をさらに細かく定めた基準、たとえば、今回でている就労系在留資格の代表格、「技術・人文知識・国際業務」の在留許可を得ようと思ったときの基準は、正確には、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」というもので確認できます。この中に、「法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」があるのですが、「技術・人文知識・国際業務の在留資格を得たければ、このような基準をクリアしてね」ということが書かれているわけです。

 たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」であれば、大学以上の学歴をもっている外国人とか、日本の専門士の学位をもっている専門学校卒の外国人とか、あるいは、10年以上の実務経験のある外国人とか、そういう風に書かれています。

 また、給与面においても、日本人と同等額以上の報酬を受けることが基準の1つで定められていますから、「外国人なら安く採用できる」ということはないわけです(これは、いずれ動画にします)。

 いずれにしても、在留資格ごとにクリアすべき「基準」が定められており、それをクリアしていなければ申請しても不許可になるわけです。僕ら行政書士は、これを「基準適合性」として、申請前にチェックしていくわけです。

3:00 「活動内容に応じて在留資格が用意されている」とは?

 

 在留資格は、1つではありません。たとえば、「会社に就職する」といっても、システムエンジニアとして就職する人もいれば、通訳者として就職する人もいます。レストランの調理師として就職する人もいれば、プロスポーツ選手として活動する人もいます。

 様々な仕事が世の中にありますが、入管法は、一定のグルーピングにより、「業務内容(仕事内容)」にあわせて、在留資格を準備しています。

 たとえば、システムエンジニアや通訳者であれば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格、調理師であれば、「技能」の在留資格、プロスポーツ選手であれば、「興行」の在留資格・・というように。ちなみに、雇用ではなく、起業や会社役員としての生き方を選ぶならば、在留資格は「経営管理」というものを選択します。

 どのような活動なら、どのような在留資格を選ぶのか。これは、「出入国管理及び難民認定法(別表)」というものがあり、そのうち「別表第一」をみていただければ、就労系在留資格のほか、留学生など一定の在留資格の活動範囲を確認できます。ちなみに、「別表第二」は、「永住者」、「日本人の配偶者等」などの在留資格で、いわゆる居住系在留資格のことが書かれています。居住系在留資格は、就労活動などを理由に日本にくるというよりは、結婚や長期滞在の実績を理由に、いわば身分的な理由で申請する在留資格ですから、就労系在留資格とは全く異なるものですし、居住系在留資格を有している人たちは、就労系在留資格と異なり、業務内容に制限なく就労することができます(このあたり、また動画にします)。

 僕らは、目の前にいる外国人が日本でどのような活動をするのか、その活動をするための在留資格が入管法に用意されているのかを、まず1番最初に確認しますが、これを、「在留資格該当性」などと呼んでいます。

 

(※本記事は、過去にnoteで掲載したものを引用しています。)

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