ブログ

2022-09-16 10:00:00

■ 出入国管理行政と注目すべき国々

シンガポール.jpg

 

 

 皆様いかがお過ごしでしょうか。東京・池袋の行政書士事務所エフイヴグループ、村瀬です。本日は、在留資格についての記事となります。

 

第1 日本の出入国状況(入管白書2021年度版参照)

 

 2020年における外国人入国者数430万7,257人のうち、新規入国者数は358万1,443人(2019年の2,840万2,509人と比べ2,482万1,066人(87.4%)減少)、再入国者数は72万5,814人 (2019年の278万4,670人と比べ205万8,856人(73.9%)減少)となっています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、査証の制限や上陸拒否等の入国制限措置、海外渡航制限の措置、検疫強化がとられたことなどを背景に、国際的な人の往来が大幅に減少したことが外国人入国者数全体の大幅な減少につながったものと考えられています(入管白書2021年版参照)

 目的別にみると、2020年における新規入国者数は358万1,443人となっており、「短期滞在」が336万831人で新規入国者数全体の93.8%を占めています。次いで、「技能実習1号ロ」が7万4,804人(2.1%)、「留学」が4万9,748人(1.4%)、「技術・人文知識・国際業務」が1万9,705人(0.6%)の順となっていました(入管白書2021年版参照)。

 企業で働く外国人はどうでしょうか。相当する在留資格での2020年における新規入国者数は、「技術・人文知識・国際業務」が1万9,705人、「企業内転勤」3,188人の計2万2,893人となっています(2019年と比べて「技術・人文知識・国際業務」は2万4,175人(55.1%)減少、「企業内転勤」は6,776人(68.0%)減少)。それでも、依然として、「技術・人文知識・国際業務」は就労系在留資格の中では最も大きな割合を占めています(入管白書2021年版参照)

 「技術・人文知識・国際業務」で来日しているのは、ベトナム6,484人(32.9%)、中国2,702人(13.7%)、韓国1,533人(7.8%)、インド1,018人(5.2%) の順となっており、これら4か国で全体の59.6%を占めていることになります。 また、「企業内転勤」で来日しているのは、中国548人(17.2%)、フィリピン412人(12.9%)、ベトナム329人(10.3%)、スリランカ276人(8.7%)の順となっているようです(入管白書2021年版参照)

 これらの統計が示すとおり、我々行政書士は日頃、就労系在留資格の手続きをサポートするわけですが、主に中国、朝鮮半島、東南アジア圏が大半であり、いかに日本にとって重要かつ注視すべき隣接国かがわかります。「1つの中国」、「一帯一路」、台湾有事に尖閣問題と、話題に事欠かない中国。大統領が変わったとはいえ嫌韓・反日感情が史上MAXといわれている韓国。人口と経済発展によりこれからは中国よりインド!といわれるまでに発展したインド。これらの国々を日本は避けてはとおれないですし、経済、政治などあらゆる面で注目すべき国々と思われます。

 

第2 シンガポールは、日本でいう「高度専門職」っぽい制度が原則

 

 個人的な仕事の関係で、最近、同じく東南アジアの経済大国のひとつ、シンガポールについてみる機会がありました。入管白書などではまだ目立った数値は出てきませんが、シンガポールの出入国管理行政も勉強になります。

 僕は、シンガポールは小学生の頃に1度だけ旅行に連れて行ってもらったことがあります。当時のシンガポールのイメージは、「マーライオン」、「ゴミのない国(唾を吐いたら罰金)」、「チョコがおいしい」、「宿泊したホテルの炒飯がめちゃくちゃおいしかった」という感じですが、あれから20年以上経過した今、シンガポールは全く違う国に変貌していますね。

 シンガポールは、日本人が住みやすい国で日系企業・多国籍企業が多く進出しています。ただ、近年は、日本人が「シンガポールで働こう」と思ったら、かなりハードルは高い様子。僕も調べてみましたが、ざっくりとした印象は、「シンガポールの就労ビザは、日本の入管制度でいえば、『高度専門職』が原則」といった具合です(※ちょっと違うのでは?という場合、メールでこっそり教えてください)。決して、外国人来るな!という感じではありませんが、より専門的かつ高度な人材を求めているという意味では、日本の出入国管理行政よりも徹底しています(むしろ日本の場合は、建前は専門的な人材を!といっていますが、門戸という観点からは実際はそうでもないような・・)。

 シンガポールは2010年以降、より国が成熟し、経済発展し、世界の起業家・投資家が集まる国に変貌しました。この結果、自国民の雇用機会の確保がシンガポールの最優先課題となったため、外国人の受入れを厳しくした、という流れです。僕の認識では、日本の場合も、似たような流れにあったのかと思います。すなわち、①「日本は鎖国的な国だった」→②「優秀な(専門技術的な)高度な外国人を受け入れよう」→「少子高齢化でなかなか人手不足になってきた」→③「留学生や技能実習生含め、外国人受け入れを進めよう(但し、高度な外国人材が原則)」→「さらに少子高齢化が激しくなってきて、本当に人手が足りないぞ」→④「特定技能という制度をつくって、真っ向から「人手不足」と表現した」という流れ。②あたりを彷彿とさせます。2022年、シンガポールではまた大きな改正があるようですので、注目しています。

 

 

 ふと立ち止まって振り返ったとき、この入管法の実務を行う上で、「中国」、「朝鮮半島(韓国・北朝鮮)」、「東南アジア圏(ベトナム、インド、シンガポールなど)」については、より深く勉強しないといけないなぁと感じた次第です。

 

 

(※2022年9月16日)

 

 

 

 【資格・検定】

>>英語検定

>>歴史能力検定

>>沖縄歴史検定

>>テクニカルアナリスト

>>ファイナンシャルプランナー

 >>行政書士試験

トップへ戻る